稲田禅房21-1「市民大学」講座 のご報告

公開講座

 「日本近現代史を学ぼう―外交・軍事・経済―

 池知正昭先生(駿台予備学校講師・元明治学院大学講師)

スプリングセミナー

 「世界の三大宗教を比較する」

 加藤智見先生(東京工芸大学名誉教授)

 

 当山の21-1「市民大学」講座は、3月6日に盛況のうちに終了いたしました。受講者の皆様、ご参加ありがとうございました。

 

 公開講座「日本近現代史を学ぼう」は、明治維新から太平洋戦争に向かった戦前期日本の歴史について、定員を上回る受講者を前に池知正昭先生が情熱溢れるご講義を展開してくださいました。このため、ご講義は大いに盛り上がり40分延長の後に終わりました。

 主催者としては、水面下で進んでいる「社会の軍事化」の危険性を訴えるとともに、現政権の特色とされる反知性主義が 社会全般にも広がっていることを憂慮し、この講座がアンチテーゼとなれば幸いであるとお話させていただきました。

 

池知正昭先生
池知正昭先生

 

 加藤智見先生によるスプリングセミナー「世界の三大宗教を比較する」に も、多くの受講者が詰めかけてくださいました。

 仏教は知性で納得して信仰する哲学性を持っていること、これに対してキリスト教・イスラム教は形而上学的に一方的に与えられた啓示を信じることから全てが始まること、さらにキリスト教では原罪と贖罪が、イスラム教では厳しい砂漠の風土が生んだ絶対的な神への服従が特色であることなど、興味深いお話でした。

 先生の穏やか語り口の中に折り込まれるジョークに、笑い声が時折まき起こります。寛いだ雰囲気の中で、一つ 一つ納得できるお話が続き、こちらも40分の延長となりました。

加藤智見先生
加藤智見先生


 受講者の皆様の熱いご支持に、深く感謝申 し上げます。ありがとうございました。また皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。情熱あるご講義をなさってくださいました池知先生・加藤先生、ありがとうございました。

 

 

 

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以下に、公開講座・スプリングセミナーの御案内を再掲しておきます。

 

公開講座や Spring & Summer Seminar は、アカデミックな「市民大学」講座です。法要における法話と明白に区別するため、従来の副題「親鸞講座」を一昨年度から「市民大学講座」と改称しました。宗教関連の儀式は本Seminarのスケジュールに入っていませんので、他宗の方や仏教徒以外の方も是非ご参加ください。浄土真宗や日本仏教に閉じ籠もることなく、「世界の中の日本仏教」という視点を大切にし、仏教以外へも対象を広げていく予定です。

 

■公開講座(春)   申込不要・無料

3月6日(日) 10:30~12:30講義

 池知正昭先生(駿台予備学校講師・元明治学院大学講師)

  「日本の近現代史を学ぼう――外交・戦争・経済――」

  特定秘密法や集団的自衛権を認めた諸法案が制定され、緊急事態条項の創設を含む憲法改定が俎上に上っている2014~16年は、日本社会の大きな転換点な のか、それとも従来の路線の延長線上にあるのか? また、その道は戦前の日本が辿った戦争への道なのか、それとも新しい国際政治状況に対応するための必要 な改革なのか?
 それらを考える上で、明治維新以降の日本が何故あのような悲惨な戦争に突入していき、また絶望的な敗戦から如何にして立ち直っていったのかについて、正しい知識を持っていることが必要不可欠です。
 これらの問題意識の上にたち、ご研究経験もある歴史教育のベテラン池知先生にご講義をお願いしました(主催者)。

    

《池知先生のプロフィール》

1958(昭 和33)年生まれ、東京都出身。青山学院大学文学部を経て同大学院文学研究科日本史専攻に進み、博士後期課程単位取得満期退学。専攻は日本の古代史・古代 仏教史・美術史。長年にわたり明治学院大学講師を務める一方で、駿台予備学校日本史科講師として東大・京大・一橋大クラスを担当する。                                  

 

   

■スプリングセミナー  申込要・有料(下記参照)

3月6日(日) 13:30~16:40講義および開講式&閉講式

 加藤智見先生(東京工芸大学名誉教授)

  「世界の三大宗教を比較する」

ルターと親鸞」および「イスラム教と親鸞」 に続く比較宗教学の3回目です。テロ行為を巡り欧米社会とイスラム世界との軋轢が強まり、宗教や文化を異にする多くの難民たちがEU諸国に殺到する中で、 東アジアの片隅に暮らす我々も世界の諸宗教に無関心ではいられません。キリスト教やイスラム教の教えと仏教や親鸞聖人との共通点や相違点について、(比 較)宗教学がご専門の加藤先生がお話くださいます(主催者)。

 
●各回とも開会式などを除き3時間、定員70名です。

●受講料は1日のみ3000円、2日で5500円、3日で7500円です。

スプリングセミナーに参加されて3000円をお支払いいただいた方は、サマーセミナーご参加の際には差額のみお支払いください。具体的に言えば、7月18日または19日のどちらかのみの受講の場合は5500円-3000円=2500円、7月18日と19日の両日とも受講の場合は7500円-3000円=4500円を、お支払いください。

●3日前までにお申し込み下さい。

前後に宿坊にお泊まり頂くことも可能です(ご予約ください)

 :お一人かグループで個室(4部屋のみ)ご希望の方は、7000円+税8%(二食付き)

 :3~5名程度の相部屋(男女別)をご希望の方は、6000円+税8%(二食付き)

   ――相部屋料金は公開講座・セミナー受講者のための特別料金です――

●ご昼食用のお弁当もあります(700円+税8%/ご予約ください)

 

《加藤智見先生のプロフィール》

(1)略歴 

1943(昭 和18)年、愛知県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了。東京大学および早稲田大学講師、東京工芸大 学教授などを経て、現在は東京工芸大学名誉教授・同朋大学講師、光専寺(浄土真宗大谷派)住職。専門は宗教学、仏教学。

 

(2)主要著書

 『親 鸞とルター』(早稲田大学出版部)、『ココロの旅からタマシイの旅へ――宗教の理解』・『宗教のススメ――やさしい宗教学入門』・『蓮如入門』・『誰でも わかる浄土三部経』・『世界の宗教と信仰』・『親鸞の浄土を生きる』・『本当の宗教とは何か――宗教を正しく信じる方法――』(大法輪閣)、『いかにして 〈信〉を得るか――内村鑑三と清沢満之――』・『蓮如とルター』・『仏像の美と聖なるもの』・『浄土三部経のこころ』(法蔵館)、『他力信仰の本質――親 鸞・蓮如・満之』(国書刊行会)、『世界の宗教が面白いほどわかる本』(中経出版)、『見つめ直す日本人の宗教心』(原書房)、『図説あらすじでわかる! 親鸞の教え』・『図説あらすじでわかる!歎異抄』・『図説浄土真宗の教えがわかる! 親鸞と教行信証』(青春出版社)ほか。

現在の開門時間は、

9:00~16:00です。

 

親鸞聖人御誕生850年および立教開宗800年を記念した前進座特別公演「花こぶし」の水戸公演が2月に行われます。

詳細は左端の「お知らせ」タブより「行事日程と工事予定」をご覧ください。

(2024.1.11)

⇒ご鑑賞、御礼申し上げます。

 

「除夜の鐘」をつきます。23:50~01:00頃。ご参拝ください。   (2023.12.31)

⇒ご参加・ご参拝ありがとうご

 ざいました。(2023.01.1)

 

2023年度の新米が入荷しました。今年の新米も昨年同様ローズドール賞(最優秀賞)を受賞した新品種「ゆうだい21」です。詳細は左端のタブ「庵田米の販売について」をご覧ください。    (2023.10.20)

 

筑波大学名誉教授(日本思想)伊藤益先生のご講義【第5回】     

「慈悲の思想」をUPしました。左端のタブ「internet市民大学」よりお入りください。      

         (2023.7.15)

 

「市民大学講座」7月16日開催します。ご講師は伊藤益先生です。詳細は左端のタブ「公開講座・Seminar のご案内」をご覧ください。4年ぶりの開催ですので、ご参加をお待ちしています。(2023.5.29)

⇒約70名の受講者の方のご参加を得て、質疑応答で40分の延長の後、無事に終了しました。35度にもなる酷暑の中、駅から往復3km を歩いて参加され方々もありました。皆様、ご参加ありがとうございました。そし て、お疲れさまでした。 

       (2023.7.18)        

 机に向かい静かに目を閉じると、想いは6年前に訪れたキエフ〔キーウ〕に飛ぶ。ホーチミン経由のベトナム航空でモスクワに着いた私は、その足で駅に向かい、翌日の夜行列車を予約したのだった。

 

 首都キエフは、ロシア正教会(今はウクライナ正教会)の建物が夕日に輝く美しい都市だった。十字架を抱えたキエフ大公ウラディミル1世がドニエプル川を見下ろし、独立広場にはウクライナ国旗とEU旗が記念塔を取り囲んでいた(大学の授業で配信した動画の一部をUPします)。

 

  モスクワからキエフまでは夜行で一晩、1時間ごとに寝台列車が出ている。乗車当日その場でキップも買える。「母がウクライナの出身なんだ」と話していた初老のロシア人男性。両国に親戚がいる人々も多い。その国に攻め込むとは…刻々と届く映像を見ていて涙が止まらない。


 事態を予想しなかったと話す識者も多い。フィンランド侵攻(1939)・ハンガリー事件(56)・チェコスロヴァキア事件(68)と繰り返された暴力。必ずキエフまで侵攻すると私は確信していた。なぜ事前に米軍やNATO軍を緊急展開させなかったのか。抑止力となったはずだ。腰の引けた指導者たちの宥和政策が、ヒトラーの勢力拡大を可能にしたことを思い出す。


 キエフではミンスク(ベラルーシの首都)行きの寝台列車の切符が買える。チェルノブイリの側を抜けた列車は、翌朝にはミンスクに着いた。そのベラルーシでは、一昨年にはルカシェンコ政権に対する激しい民主化要求デモが続いた。ロシアでも反戦デモが続いているようだ。ナショナリズムに染まらないロシア人の知性に、僅かな光明を見る思いがする。

      (2022.2.26)

《追伸》
  十数年前のロシア航空、隣に座ったチェコ人青年の言葉が思い出される。チェコ解体(1939)と「プラハの春」弾圧(68)を経験した彼らの言葉は重い。 
  Russia is more dangerous

  than Germany.


 自国の権益と安全保障を要求して一方的に他国に攻め込む姿勢は、満蒙特殊権益を死守しようとした80年前の日本と重なる。欧米諸国による圧迫やウクライナの性急な親欧姿勢が攻撃を誘発したとする言説も聞かれるが、それは米国による包囲網が日本を追い込み開戦に至らしめたとして、日本の侵略行為を矮小化しようとするのと同じである。        (2022.5.5)

 

 

 

書籍の販売コーナー宿坊にございます。左端のおしらせ→書籍販売コーナー新設のご案内とお進みください(写真がご覧になれます)。また、当山のパンフレットオリジナル絵葉書その他の記念品があります。宿坊の売店にてお求めください。パンフレットと絵葉書は、ご本堂内にもございます。