【サマーセミナー(第19-2稲田禅房「市民大学」講座】

 

 7月19日・20日に今井雅晴筑波大学名誉教授および小山聡子二松学舎大学准教授をお招きして、サマーセミナーが開催されました。ご講義内容は『仏教の出家と家族』(今井先生)・『親鸞の信仰と呪術』(小山先生)です。 

ご講義後のご対談の様子
ご講義後のご対談の様子

 今井先生は、「親鸞の結婚は正しかったのか?」との問題提起に基づき、「出家とはどのようなものであるか?」を定義された上で、釈迦・西行・法然・親鸞と家族との関係について、お話くださいました。そして、恵信尼さらに義絶したとされる善鸞(義絶の事実は実証できないというのが今井先生の学説です)が、親鸞の思想に大きな影響を与えたことについて、ご講義は進んでいきました。有髪の親鸞像の写真については、受講者から驚きの声があがりました。

 小山先生は、「本当に親鸞は呪術を否定したのか?」との問題提起に基づき、まず中世~現代の呪術について、多くの写真をお使いになりご説明くださいました。その上で、中世には呪術による病気治療に僧侶が大きく関与していたこと、親鸞や家族たちも呪術すなわち「自力」の影響下にあったこと、をお話くださいました。「他力」を説いた法然や親鸞の教えも、天台宗など既存の信仰の延長線上に位置づけられるべきだとの結論となりました。教団による教義とは異なる立論は、とても刺激的でした。

プロジェクターを使ったご講義の様子
プロジェクターを使ったご講義の様子

●次回のスプリングセミナーは、2015年3月8日です。加藤智見先生(東京工芸大学名誉教授)が「イスラム教の信仰と親鸞の信仰」と題して、ご講義くださいます。7月18・19日のサマーセミナーでは、今井雅晴先生(筑波大学名誉教授)が「親鸞と極楽浄土」佐藤弘夫先生(東北大学大学院教授)が「中世から近世の墓所観(仮題)」について、お話くださいます。皆さまのご出席をお待ちしています。

 

 

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★ご参考までに、以下に2014年度の募集要項を掲載しておきます。今回ご参加にならなかた方も、是非ご参加ください。

 

 

2014年の Spring&Summer Seminar (第19回-1&2 稲田禅房「市民大学」講座)の日程とテーマが決まりました。ご参加をお待ちしています。

 

Spring & Summer Seminarは、大学教授をお招きして行うアカデミックな「市民大学」講座です。法要における法話と明白に区別するため、従来の副題「親鸞講座」を本年度から「市民大学講座」と改称しました。宗教儀礼は本Seminarのスケジュールに入っていませんので、他宗の方や仏教徒以外の方も是非ご参加ください。浄土真宗や日本仏教に閉じ籠もることなく、「世界の中の日本仏教」という視点を大切にし、仏教以外へも対象を広げていく予定です。

 

3月9日(日) 12:45開講式、1300~16:00講義、1600閉講式 

 加藤智見先生(東京工芸大学名誉教授)

   「親鸞とルター――世界からみた親鸞像――」

 ****スプリングセミナーは盛況のうちに終了しました****

   ★次回は2015年3月8日(日)です。

    加藤先生がイスラム教と仏教についてお話くださいます。

 

7月19日(土)  12:45開講式、1300~16:00講義(予定)
 今井雅晴先生(筑波大学名誉教授)
   「仏教の出家と家族――釈迦から親鸞まで――」

7月20日(日) 09:00~12:30講義&対談、1240閉講式(予定)
 小山聡子先生(二松学舎大学准教授)

   「親鸞の信仰と呪術」

   ご講義に続き、今井先生と小山先生のご対談があります。

 閉会後に境内案内tourなどを行いますので、どうぞご参加ください。
 

●各回とも開会式などを除き3時間、定員70名です。

●受講料は1日のみ3000円、2日で5500円、3日で7500円です。
 スプリングセミナーに参加されて3000円をお支払いいただいた方は、サマーセミナーご参加の際には差額のみお支払いください。具体的に言えば、7月19日または20日のどちらかのみの受講の場合は5500円-3000円=2500円、7月19日と20日の両日とも受講の場合は7500円-3000円=4500円を、お支払いください。

●3日前までにお申し込み下さい。

●宿坊にお泊まり頂くことも可能です(特別料金2食付税込7200円/ご予約ください)

●ご昼食用のお弁当もあります(税込720円/ご予約ください)

 

■ご講師紹介

加藤智見先生

(1)略歴 
1943(昭和18)年、愛知県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業、早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了。東京大学および早稲田大学講師、東京工芸大学教授などを経て、現在は東京工芸大学名誉教授・同朋大学講師、光専寺(浄土真宗大谷派)住職。専門は宗教学、仏教学。

(2)主要著書
『親鸞とルター』(早稲田大学出版部)、『ココロの旅からタマシイの旅へ――宗教の理解』・『宗教のススメ――やさしい宗教学入門』・『蓮如入門』・『誰でもわかる浄土三部経』・『世界の宗教と信仰』・『親鸞の浄土を生きる』・『本当の宗教とは何か――宗教を正しく信じる方法――』(大法輪閣)、『いかにして〈信〉を得るか――内村鑑三と清沢満之――』・『蓮如とルター』・『仏像の美と聖なるもの』・『浄土三部経のこころ』(法蔵館)、『他力信仰の本質――親鸞・蓮如・満之』(国書刊行会)、『世界の宗教が面白いほどわかる本』(中経出版)、『見つめ直す日本人の宗教心』(原書房)、『図説あらすじでわかる!親鸞の教え』・『図説あらすじでわかる!歎異抄』・『図説浄土真宗の教えがわかる! 親鸞と教行信証』(青春出版社)、『知らないと恥をかく世界の三大宗教』(PHP研究所)ほか。

 

今井雅晴先生
(1)略歴 
1942(昭和17)年、東京都に生まれる。東京教育大学大学院博士課程修了。文学博士。茨城大学教授、プリンストン大学・コロンビア大学客員教授、筑波大学教授などを経て現在は筑波大学名誉教授、真宗文化センター所長。専門は日本中世史、仏教史。

(2)主要著書

『親鸞と東国門徒』・『親鸞と浄土真宗』・『親鸞と東国』(吉川弘文館)、『親鸞と本願寺一族』(雄山閣出版)、『わが心の歎異抄』(東本願寺出版部)、『親鸞の家族と門弟』『恵信尼――親鸞とともに歩いた六十年――』(法蔵館)、『親鸞とその家族』・『親鸞と恵信尼』・『親鸞と如信』・『親鸞と東国の人々』『恵信尼さまってどんな方?』・『二十九歳の親鸞聖人』・『親鸞聖人と稲田草庵』・『関白九条兼実をめぐる女性たち』・『親鸞をめぐる人びと』(自照社出版)ほか。

 

【小山聡子先生】

(1) 略歴

1976年(昭和51年)、茨城県に生まれる。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科修了。博士(文学)。浜松医科大学医学部専任講師、リュブリャナ大学文学部客員教授などを経て、現在は二松学舎大学文学部准教授。専門は、日本中世宗教史。

(2)主要著書・論文

『護法童子信仰の研究』(自照社出版)・『親鸞の信仰と呪術』(吉川弘文館)・『源平の時代を視る』(共編著、思文閣出版)・「鎌倉時代前期における病気治療」(『明月記研究』第13号)・「存覚と自力信仰」(『日本歴史』第765号)・「覚如と呪術信仰」(『中世文化と浄土真宗』思文閣出版)・「晩年の存覚と『看病用心鈔』の書写」(『日本医史学雑誌』第58巻-3号)・「護法童子信仰の成立と不動信仰」(『論集 文学と音楽史』和泉書院)ほか。

 

 

 

現在の開門時間は、

9:00~16:00です。

 

親鸞聖人御誕生850年および立教開宗800年を記念した前進座特別公演「花こぶし」の水戸公演が2月に行われます。

詳細は左端の「お知らせ」タブより「行事日程と工事予定」をご覧ください。

(2024.1.11)

⇒ご鑑賞、御礼申し上げます。

 

「除夜の鐘」をつきます。23:50~01:00頃。ご参拝ください。   (2023.12.31)

⇒ご参加・ご参拝ありがとうご

 ざいました。(2023.01.1)

 

2023年度の新米が入荷しました。今年の新米も昨年同様ローズドール賞(最優秀賞)を受賞した新品種「ゆうだい21」です。詳細は左端のタブ「庵田米の販売について」をご覧ください。    (2023.10.20)

 

筑波大学名誉教授(日本思想)伊藤益先生のご講義【第5回】     

「慈悲の思想」をUPしました。左端のタブ「internet市民大学」よりお入りください。      

         (2023.7.15)

 

「市民大学講座」7月16日開催します。ご講師は伊藤益先生です。詳細は左端のタブ「公開講座・Seminar のご案内」をご覧ください。4年ぶりの開催ですので、ご参加をお待ちしています。(2023.5.29)

⇒約70名の受講者の方のご参加を得て、質疑応答で40分の延長の後、無事に終了しました。35度にもなる酷暑の中、駅から往復3km を歩いて参加され方々もありました。皆様、ご参加ありがとうございました。そし て、お疲れさまでした。 

       (2023.7.18)        

 机に向かい静かに目を閉じると、想いは6年前に訪れたキエフ〔キーウ〕に飛ぶ。ホーチミン経由のベトナム航空でモスクワに着いた私は、その足で駅に向かい、翌日の夜行列車を予約したのだった。

 

 首都キエフは、ロシア正教会(今はウクライナ正教会)の建物が夕日に輝く美しい都市だった。十字架を抱えたキエフ大公ウラディミル1世がドニエプル川を見下ろし、独立広場にはウクライナ国旗とEU旗が記念塔を取り囲んでいた(大学の授業で配信した動画の一部をUPします)。

 

  モスクワからキエフまでは夜行で一晩、1時間ごとに寝台列車が出ている。乗車当日その場でキップも買える。「母がウクライナの出身なんだ」と話していた初老のロシア人男性。両国に親戚がいる人々も多い。その国に攻め込むとは…刻々と届く映像を見ていて涙が止まらない。


 事態を予想しなかったと話す識者も多い。フィンランド侵攻(1939)・ハンガリー事件(56)・チェコスロヴァキア事件(68)と繰り返された暴力。必ずキエフまで侵攻すると私は確信していた。なぜ事前に米軍やNATO軍を緊急展開させなかったのか。抑止力となったはずだ。腰の引けた指導者たちの宥和政策が、ヒトラーの勢力拡大を可能にしたことを思い出す。


 キエフではミンスク(ベラルーシの首都)行きの寝台列車の切符が買える。チェルノブイリの側を抜けた列車は、翌朝にはミンスクに着いた。そのベラルーシでは、一昨年にはルカシェンコ政権に対する激しい民主化要求デモが続いた。ロシアでも反戦デモが続いているようだ。ナショナリズムに染まらないロシア人の知性に、僅かな光明を見る思いがする。

      (2022.2.26)

《追伸》
  十数年前のロシア航空、隣に座ったチェコ人青年の言葉が思い出される。チェコ解体(1939)と「プラハの春」弾圧(68)を経験した彼らの言葉は重い。 
  Russia is more dangerous

  than Germany.


 自国の権益と安全保障を要求して一方的に他国に攻め込む姿勢は、満蒙特殊権益を死守しようとした80年前の日本と重なる。欧米諸国による圧迫やウクライナの性急な親欧姿勢が攻撃を誘発したとする言説も聞かれるが、それは米国による包囲網が日本を追い込み開戦に至らしめたとして、日本の侵略行為を矮小化しようとするのと同じである。        (2022.5.5)

 

 

 

書籍の販売コーナー宿坊にございます。左端のおしらせ→書籍販売コーナー新設のご案内とお進みください(写真がご覧になれます)。また、当山のパンフレットオリジナル絵葉書その他の記念品があります。宿坊の売店にてお求めください。パンフレットと絵葉書は、ご本堂内にもございます。