【スプリングセミナー(第19-1稲田禅房「市民大学」講座)】
今回から、従来の副題「親鸞講座」を「市民大学」講座へと変更しました。セミナーにおける「ご講義」と法要における「ご法話」とを明確に区別するためです。
ルターは、キリスト教世界における宗教改革(16世紀)の旗手として、世界的に有名です。そのルターを取り上げ、3月9日に「親鸞とルター―世界から見た親鸞像――」と題して、両者の比較研究の第一人者である加藤智見先生(東京工芸大学名誉教授)がお話くださいました。加藤先生と管理人がルターゆかりの地で撮影したスライドを、パソコンを使って上映する新しい試みは、受講者の方々に喜んでいただけたようです。
「救いの道」の5つの段階について、順番に親鸞とルターを比較しつつ、ご講義は進みました。そして、「苦しみ」を出発点として徹底的に自らの信仰を分析して真剣に生きようとした人間は、日本と欧州という地域の違いや13世紀と16世紀という時代の違いを超えて、「絶対他力」(親鸞)・「信仰のみ」(ルター)により救われるという共通の認識を持つに至る、という結論でご講義は終わりました。“普段は着席と同時に居眠りを始めるが、今日は面白くて一睡もせずに聴講しました”とは、ある受講者の感想です。管理人も同感なのですが、親鸞聖人やルターに見られる内省的な思想は、結果として時代状況を追認することになるのではないか?、それを如何にして政治・社会の現状変革をめざす動きに繋げていくのか?(それとも繋げる必要などないのか?)との疑問を抱きました。
来年のスプリングセミナー(2015年3月8日)では、加藤先生が「イスラム教」を取り上げてくださいます。イスラム教はジハードを通じて政治や社会体制を大きく変革し、現代社会に大きな存在感を持っていることはご存じの通りです。次回のご講義の中にこそ、管理人の愚問への解答があるのだろうと考えています。